あるのかないのか
あるのか無いのかわからないものを探し続けてひたすら歩いた
我ながらアホなことをやってるなーと言う実感はあったのだが、それでもどこかにあるかもしれないと言う期待が僕の体を動かし続けた
どこまででも行ける気がしていた
でも結局それは見つからなかった 存在などしていなかったのだ
それを知ったとき、足は止まった
しかし不思議と心は晴れやかだった
無いものを探して歩き続けた
その行為は表面的には無駄な事かもしれないが、それでも良かった
その行為自体に満足していた
その結果が自然に受け入れられた
そして僕は悟る
この時間こそ欲しかった物なのではないのか? と
あるのか無いのかわからないと思っていたものはすぐそこにあったのだ
こんな単純な事だったのだ
だから僕は笑った
大いに笑った
これで良かったのだと
振り返れば、皆もまた笑っていた
多分これが正解
だから、別に当初の目的が見たされていなくても一向に構わなかった
だから、その目的に対してだけはこう言おう
「ごめんなさい」と
それがせめてもの償いなのだろうから