人間爆弾と僕2
いつも事件は突然で。こんなことが起こるなんて誰も予想していなくて、でも実際それは起こって、僕等の現実をいとも簡単にぶち壊してくれた。
だから僕はそれが初め信じられなかったんだ。そんな事があり得るはずないと否定した。
だって、そんなの漫画やゲームの中でしか聞いたことがない事実だったから。普通じゃ到底考えられないことだったんだ……。
でも、時間が経つにつれそれが嘘じゃないとわかった。
嘘みたいな出来事だけど、それは現実だったんだ。
そうしたら今度は悔しくなった。
なんで? どうして? いつ? どうやって?
色んな疑問が浮かんでは消え、僕を駆け巡っていった。
でも、どの疑問に対しても、答えが出ることはなかった。
なぜなら、この答えを知る者はもう、僕等の輪の中にはいないのだから。
世の中は理不尽だ。
これを嫌と言うほどに味わった。
そう僕等の前にあるのは現実と言う事実だけで、それは与えられるだけで、決して自分で選ぶことは出来ない。
事実に対して僕等は何も出来ない。受け入れるしかない。
どれだけ否定しても、それは書き換わることがないのだから。
だから、いまだにどうしていいか分かってはいないけど、僕は受け入れることにした。
心はまだ何か言いたそうだけど、ぐっと押し殺して受け入れた。
ある冬の日、友人が何の前触れもなく――――
――――爆発した
↑OPテーマ
あの受け入れがたい現実と向き合うようになってから、だいたい一ヶ月が過ぎた。
あんな事が起きても、僕等の日常は変わることなくそれまで通りだった。
いつもの暮らしを続ける中で、一度向き合ったあの日の現実はどこか薄れていった。
そうやって今まで通り、記憶を忘却の彼方へ置き去りにして、あれは終わるはずだったんだ。
なのに、現実はそれを由とはしない。忘れることは許さないと僕等に再び迫り来る。
そうやって無理矢理僕等に現実と向き合わせる。
そして、また僕等はどうしようもない現実の前に絶望を強いられる。
こんなのが現実なのか……と諦めるような声で誰かが言う。
どうして黙っていたんだ……と憤りを隠せない声で誰かが叫んだ。
僕も何かを言おうとした。でも咄嗟には言葉が出てこなくて……ただただ、黙ってその有り様を見ることしか出来なかった。
僕は弱かったのだ。他の二人のように喋ることすら出来ないほどに。
だからこそ、現実は僕に襲いかかるのだろう。
この世はこんなにも残酷なんだと教える為に。
なんで、こんな苦しみを背負わせられなくちゃいけないんだ。
僕はいつもの日常だけで精一杯なのに。
認めたくない現実を再び見つめる。
そこには一ヶ月前と同じく爆散して、無残にも粉々になった友人だった物があるだけだった。
こうして後に人間爆弾(デトネイター)パンデミックと呼ばれる事件が、派手派手しくも静かに幕を開けたのだった。
(いやホントごめんなさいwww)